お墓まりの常識・非常識
一般的には故人やご先祖様の命日のほか、春秋のお彼岸、お盆、年末年始とされることが通常で、せめてそれぐらいはお参りしたいものです。
また、お墓参りと言うのは一つの儀式・儀礼と言う以前に、家族としての繋がりを確認する大切な行事でもあります。「進学・就職しました。」「結婚しました。」「子供が生まれました。」などの人生の節目節目に報告に行くのはもちろんのこと、できれば普段からも気軽に「やさしかったおばあちゃんに会いたくなった。」「おじいちゃんの大好きだったお饅頭を持って会いに行く。」そんな気持ちでお墓参り行くのが一番なのではないでしょうか?
お墓参りの時、必ずお坊さんにお経を読んでもらわなければいけないのかと訊ねられる事がございます。そこのお寺や霊園の方針などによる差異もございますが、一般的には読んでもらわなくても差し支えなくお参りいただけると存じます。(その霊園や墓地の利用規約をご確認下さい。「ぎんなん霊苑」では差し支えありません。)
但し、礼儀上、また防犯上などの観点からも、お寺や管理事務所などに一言「お墓参りに来ましたた。」と、声がけしておいたほうが良いでしょう。
個々のお墓の掃除・管理は、使用者である家族が責任を持って行うべきことであります。
よく「うちは霊園に任せてあるから…」などと耳にすることがありますが、我が国では、古来より「お墓参りは墓掃除」と言われるぐらいお墓のお掃除を家族で行うことが、とても大切なこととされてまいりました。
草を引き…、墓石を洗い…、花を換え…、そういった一つ一つプロセスを家族と共にじっくりと行う時間の中で、ご先祖様と今を生きる私たちとの繋がりが明確になるのだと思います。
どんなに丁寧に掃除してもそんなに時間がかかるものではありません。自分の家の掃除をする…、自分の「心」を掃除する…、そんな気持ちでご先祖さまのお墓を掃除できれば、きっとお墓参りも心地良いはずです。
お墓掃除の仕方と申しましても取り立て難しい作法があるわけではありません。
手順としましては、まず枯れた花やお線香やロウソクの燃えかすなどをきれいに取り除き、敷地内の雑草を抜き、墓石を綺麗に洗います。
この時の注意点ですが、墓石の中にはデリケートな種類のものもございますので、硬いタワシや家庭用洗剤などでゴシゴシ洗いますと石が欠けたり、ひび割れ・キズ、またシミの原因となってしまうことがございます。墓石洗いは原則として柔らかい布やスポンジを用いての丁寧な水洗いが良いでしょう。
どうしても汚れがひどくて落ちない場合にはタワシ等を用いますが、金属製の硬いタワシは墓石を傷めてしまいますので避けましょう。昔ながらのシュロタワシや亀の子タワシなどが無難です。また石と石とのつなぎ目など細かい箇所の汚れ落としには歯ブラシ(古くなった物はご先祖様に失礼にあたります。必ず新しいものをお使いください。)などを使うのも有効かもしれません。
掃除の際には、隣接するお墓に迷惑がかからないよう気をお配りください。掃き出したゴミを散らかしたり、墓石を洗っている水をかけてしまうことはマナー違反です。(たとえそこに参拝の人がいなくても同じです。ご先祖様が肩身の狭い思いをされます。)
一般的に掃除で出たゴミ等はビニール袋などに入れてすべて持って帰るのが原則ですが、霊園やお墓によってはゴミ出し出来るところもございます。その際には、必ずそこの規定に従い、マナー違反の無いようにご注意下さい。
全ての掃除がお済みになられましたら、新しいお花入れ、墓石にお水をかけ、お供えをし、お線香とロウソクをたて、綺麗になったお墓の前でみんなで手をあわせてお参りしましょう。
【掃除用に】
タワシ、歯ブラシ、ぞうきん
(他の用途に使用したものは避ける)
ほうき、バケツ、ひしゃく
(霊園や墓地で貸してもらえる場合もありますが事前に確認しておいたほうが良いでしょう。)
その他、ゴミ袋(必須)、軍手、スコップ(あると便利)など。
【お供え用】
お花、お供え品(菓子・果物・飲み物)、それらを置く半紙など。
【お参りするために】
数珠、線香、ろうそく、マッチ(ライター)
お墓参りの際のお供え物につきましては、地域地域の風習など様々かと存じますが、基本的には「心を尽くす」ということに他ならず、気持ちの込もったものを持参するのが何よりです。
但し、いくら生前好きだったからと言って、肉や魚などのいわゆる「生臭物」をお墓にお供えするのはいかがなものかと思います。またネギ、ニラ、ニンニク等も同様に避けるべきでしょう。一般的にはお菓子や果物が多いようです。
最近では「生前好きだったから…」とタバコを線香立てに刺している方がいらっしゃいます。タバコをお供えするお気持ち自体は問題なかろうかと存じますが、同じ煙の出るものという括りで線香立てに立ててはいけません。(お線香は清浄なものの象徴です。)
また墓石にお酒をかける方も時折お見受けいたしますが余り感心いたしません。そのまま放っておけば墓石を痛める恐れがあるだけにとどまらず虫が湧いたり悪臭の原因にもなります。もしどうしてもお酒をお供えしたい場合は、小瓶で持参し墓所に撒いたりせずに必ず持ち帰るようにしましょう。
最後に、お参りが済めばお供えしたお下がりはその場でみんなでいただくか、全て持ち帰るのがマナーです。そのままにしてお帰りにならないようご注意下さい。